← 修理店の業務ガイドの一覧にもどる
GUIDE

修理管理の乗り換え方|紙の伝票・Excel・ほかのシステムから、打ち直さずに移す手順

紙の伝票、Excel の台帳、いま使っている修理システム。その代わりに別のものを使うと決めたとき、困るのは選ぶことより「どう移すか」です。全部を打ち直そうとして始まらない、しばらく両方に書いて記録が食い違う、移しただけの修理にお客様への連絡が飛ぶ。このページでは、何を移して何を残すか、紙・Excel・ほかのシステムそれぞれからの移し方、切り替えの日の進め方、よくある失敗を、順番にまとめました。

公開日 2026年10月9日 ・ 執筆 Repair Karte(楽器修理の現場から生まれた修理品管理システム)

1. 先に結論

  • 移すのは「預かり中の品物」だけで始められます。お渡し済みの履歴は、移せるなら移す、移せないなら古い台帳を残しておく、で足ります(2章)。
  • 打ち直しを減らす道は、元によって違います。紙は件数しだいで「画面で入れる」か「表に書き写して取り込む」(3章)、Excel はそのまま取り込めるかをまず試す(4章)、ほかのシステムは解約の前に書き出す(5章)。
  • 切り替えの日を1日決めて、その日から二重記入をしません。古い台帳は読むだけにし、移した品物が全部返ったら閉じます(6章)。
  • 移しただけの修理に、お客様への連絡やリマインドが飛ばないかを確かめます。移す側でいちばん起きやすい事故です(7章)。
  • まだ何に移すか決めていないなら、先に「修理管理システムの選び方」を。Excel のままでよいかの見分け方は「修理管理をExcelで」に書きました。

2. 移すもの・残すもの

乗り換えが止まるいちばんの理由は、「全部を移さないと始められない」と思うことです。切り替えた日から困らないために要るのは、まだ終わっていない修理だけです。

ものどうするか理由
預かり中の品物必ず移す切り替えた日から、返すまでの連絡と記録を新しいほうで行うためです。ここが移っていないと、古い台帳を見続けることになります。
見積もりの返事待ち・お渡し待ちの品物必ず移す預かり中と同じです。状態(返事待ち・完了・お渡し待ち)まで合わせて移すと、切り替えた日から一覧で追えます。
お渡し済みの修理(履歴)あれば移す「前回いつ、どこを直したか」を電話番号や名前で引けるようになります。手で打ち直すなら、よく来るお客様の分だけで足ります。
修理の記録が無いお客様だけの名簿移さなくてよい修理の記録の中で生きる情報なので、修理が無い名前だけを移しても使い道がありません。次に来たときの受付で入ります。
何年も前の台帳・伝票の束移さずに残すめったに見ないものは、元のファイルや箱のまま保管しておけば困りません。必要なときだけ探します。
写真・サインした紙の受付票原本を保管する表の形のデータ以外は、そのまま移せないことがほとんどです。受付票は、お客様との約束の控えとして原本を残します。

元の伝票・ファイル・書き出しは、移したあとも消さずに残します。新しいほうに入らなかったものを確かめられるのは、元の記録だけです。

3. 紙の伝票・台帳から

紙からの乗り換えは、移すものがいちばん少なく済みます。過去の伝票は箱に残したまま、預かり中の分だけを移します。

1

預かり中の伝票だけを抜き出す

棚や箱にある品物と、伝票の控えを突き合わせます。品物はあるのに伝票が無いもの、伝票はあるのに品物が無いものが、ここで見つかります。移す前に片付けておきます。

2

件数が少なければ、新しいほうの受付画面で1件ずつ入れる

預かり中が十数件なら、ふだんの受付と同じ画面で入れてしまうのが早道です。入れながら、受付の画面に慣れることにもなります。

3

件数が多ければ、Excel の台帳に書き写してから取り込む

1行1件の表に、受付日・お客様の名前・電話番号・品物・内容・状態だけ書き写します。項目は少なくて構いません。表の作り方は「修理管理をExcelで」の解説に、無料の台帳 Excel があります。

4

品物の札を、新しい受付番号に付け替える

新しいほうで受付番号が付き直る場合は、お預かりタグを印刷し直して品物に付けます。古い札は外さず、並べて付けておくと、お客様が古い控えを持ってきたときに探せます。

5

紙の伝票は、移した日を書いて箱にしまう

「〇月〇日 移行済み」と書いておくと、どちらが新しい記録かで迷いません。捨てずに、決めた期間は保管します。

書き写すための表は、無料の修理品管理台帳(Excel)をそのまま使えます。受付票の様式を見直すなら「修理受付票の書き方」に。

紙の伝票から切り替えたお店の例は、楽器屋BOW(神奈川県藤沢市)の導入事例にあります。2026年7月に、修理の受付を紙の伝票から切り替えた楽器店です。

4. Excel・スプレッドシートから

Excel の台帳は、もう表の形になっているので、取り込める先ならほとんど打ち直さずに移せます。移す前に、次の5つだけ見ておきます。

1

見出しは書き換えなくてよい

取り込める製品なら、「お名前」「TEL」「品名」のようなお店ごとの見出しのまま読めることがあります。列の順番を並べ替えたり、テンプレートに写し直したりする前に、まず今のファイルのまま試します。

2

1行が1件になっているかを見る

1件を2行に分けて書いた行、合計の行、色だけで状態を表している行は、そのままでは読めません。色で表している状態は、「状態」の列を足して文字にしておきます。

3

年ごと・月ごとのシートは、そのままでよいか確かめる

シートを分けている台帳は多いです。見出しが同じシートをまとめて読める製品なら、1つにまとめ直す必要はありません。

4

日付と電話番号の形をそろえる

「10/9」と「2026年10月9日」が混ざっていても読めることが多いですが、年の無い日付は何年か分かりません。電話番号は、先頭の0が消えて数字になっていないかを見ます。電話番号が同じなら同じお客様としてまとまるので、ここがいちばん大事です。

5

Googleスプレッドシート・Numbers は書き出してから

Googleスプレッドシートは「ファイル → ダウンロード」から、Numbers は「ファイル → 書き出す」から、Excel(.xlsx)か CSV で保存します。

1行1件の修理管理台帳のExcel。受付番号・受付日・お客様名・電話番号・品目・品名・症状・状態などの列に、記入例が3行入っている
1行が1件になっていて、状態が文字で書いてある台帳なら、そのまま移しやすい形です(無料の修理品管理台帳の記入例)。

Excel の台帳をどう作るか、いつ専用のものを考えるかは「修理管理をExcelで行う方法」にまとめています。ここでは繰り返しません。

5. ほかの修理システムから

ほかの修理システムからの乗り換えでいちばん大事なのは、順番です。書き出してから、新しいほうに取り込み、中身を確かめてから解約します。

1

解約の前に、書き出しを済ませる

契約が終わると、管理画面に入れなくなる製品があります。いまのシステムの「書き出し」「エクスポート」「CSV ダウンロード」から、修理(チケット・案件)とお客様の両方を取り出してから解約します。

2

修理とお客様が別のファイルになっていないか見る

修理の書き出しに、お客様の名前か番号しか入っていないシステムがあります。電話番号やメールアドレスは、お客様の書き出しの側にあります。この場合は、2つのファイルをつないで取り込める先を選びます。

3

書き出しが無いときは、預かり中の分だけ画面から写す

書き出しの機能が無いか、運営会社に頼まないと出せないシステムもあります。そのときは、預かり中の品物だけを一覧の画面から書き写します(3章の紙と同じ進め方)。履歴は、元のシステムを解約するまでに必要な分だけ控えます。

4

持ってこられないものを決めておく

写真・添付ファイル・お客様とのやり取りの履歴・お店ごとの設定は、表の書き出しに入らないことがほとんどです。必要なものは、解約の前に別に保存しておきます。

書き出しのしかたは、いまのシステムのヘルプで「エクスポート」「CSV」「書き出し」を探してください。解約したときにデータをどう扱うかは、各社の利用規約に書いてあります。

6. 切り替えの日の進め方

移す作業より大事なのは、「この日から新しいほうだけ」という日を決めることです。

1

前の週まで: 新しいほうで、実際にあった1件を最初から最後まで通す

受付・タグの印刷・状態の変更・お客様への連絡・お渡しまで。自分のスマホをお客様役にします。ここで止まるなら、切り替えの日を決めるのはまだ早いです。

2

前の日: 預かり中の分を移し、スタッフのログインを用意する

移したあと、一覧の件数と、棚にある品物の数が合っているかを数えます。受付に立つ人には、1件入れてもらっておきます。

3

当日から: 新しい受付は、新しいほうだけで受ける

紙やExcelにも同じことを書く「二重記入」はしません。2つを同時に更新すると、どちらが正しいか分からなくなります。古い台帳は、読むだけにします。

4

預かり中が入れ替わるまで: 移した品物は、返すときに新しいほうでお渡し済みにする

移した品物が全部お渡し済みになれば、古い台帳を開く理由は無くなります。たいていは、ふだんの修理の期間がひと回りするくらいです。

お客様に乗り換えを知らせる必要は、ほとんどありません。変わるのは受付の控えの見た目くらいです。連絡の手段を LINE やメールに広げるなら、切り替えの日ではなく、次に来店したお客様から少しずつ案内します。

7. よくある失敗

全部を移してから始めようとする

何年分もの台帳を移し終えるのを待つと、いつまでも始まりません。預かり中の分だけで始め、履歴はあとから足すか、古い台帳を見れば足ります。

しばらく両方に書く

念のための二重記入は、どちらかが必ず抜けます。切り替えの日を1日決めて、その日からは新しいほうだけにします。

書き出す前に、前のシステムを解約する

解約の手続きは、書き出したファイルを新しいほうに取り込み、中身を確かめてからにします。

取り込んだ瞬間にお客様へ連絡が飛ぶ

移しただけの修理に「受け付けました」「完了しました」の連絡が届くと、お客様が驚きます。取り込みで連絡やリマインドが届かないかを、移す前に確かめます。

電話番号の表記がばらばらのまま移す

「090-」と「090」とハイフン無しが混ざっていると、同じお客様が別人に分かれることがあります。電話番号の形をそろえて扱える先か、移す前にそろえておきます。

お客様への連絡の手段まで、同じ日に変える

記録の道具を変える日に、電話をやめて LINE だけにする、といった変更を重ねると、受付で止まります。連絡の手段は、お客様ごとに選べる形のまま少しずつ移します。

8. よくある質問

移し方そのものの質問に、Repair Karte に移す場合の答えで書いています。

紙の伝票を写真に撮って、そのまま取り込めますか?

Repair Karte では読めません。表の形のファイル(Excel・CSV)を取り込む仕組みです。預かり中の伝票が少なければ受付の画面で1件ずつ、多ければ無料の台帳 Excel に書き写してから取り込むのが早道です。

取り込みにお金はかかりますか?

Repair Karte の台帳の取り込みは、無料のフリープランを含むすべてのプランで使えます。移すための別料金はありません。

何件まで取り込めますか?

1回に取り込めるのは2,000件までです。それより多いときは、取り込んだあとにもう一度同じファイルを選ぶと、続きから入ります。ファイルは1つ10MBまでです。なお、フリープランの「受付は月100件まで」は受付日で数えるので、今月の受付日の行を取り込むと、その月の件数に入ります。

同じファイルを2回取り込んだら、二重になりますか?

なりません。同じ電話番号(無ければ名前)・同じ受付日・同じ品名の修理がすでにあれば、その行は「すでにある」として飛ばします。

前の受付番号はどうなりますか?

Repair Karte の受付番号が新しく付き、元の番号はカルテのメモに残ります。品物には、新しい番号のお預かりタグを印刷して付けてください。

取り込んだ修理のお客様に、連絡が届いてしまいませんか?

取り込む操作では、お客様に連絡は届きません。取り込んだ修理は、見積もりやお受け取りのリマインドの対象にもなりません。取り込んだあとで状態を進めたときは、ふだんの修理と同じ扱いになります。

合わなかったら、また元に戻せますか?

入れたデータは CSV で書き出せます(スタンダード以上)。解約するときは、登録したデータをお渡しします(利用規約に書いてあります)。元の台帳やファイルは消えないので、残しておけばそのまま戻れます。

9. Repair Karte に移す場合

このページを書いている Repair Karte(リペアカルテ)には、Excel・CSV の台帳(自作のものも、無料の台帳 Excel も)と、ほかの修理システムの書き出しを、同じ画面から取り込めます。取り込みはすべてのプランで使えます。紙の伝票は、3章の進め方で移します。

1

設定 → 受付・案件 の「台帳から取り込む」で「Excel・CSVを取り込む」を押す

無料で登録したあと、どのプランでも使えます。

2

ファイルをそのまま選ぶ

Excel(.xlsx)・CSV と、ほかの修理システムの書き出し。見出しの言い方や列の順番は、そのままで構いません。修理とお客様が別のファイルになっている書き出しは、2つを一緒に選ぶと、お客様の番号や名前でつないで電話番号・メールを入れます。

3

「読み取って確認する」で、列の読み方を確かめる

どの列をどの欄(お客様・電話・品物・内容・金額・状態・日付など)として読んだかが出ます。外れていれば、列ごとに選び直せます。日付の並び(月/日/年・日/月/年)も切り替えられます。

4

行ごとの判定を見て、取り込む

1行ずつ「取り込む」「すでにある」「読めない」の判定が出ます。状態の列が無い行は、お渡し日があれば「お渡し済み」として履歴に入ります。台帳にある品目を、品目の候補に足すこともできます。

  • 取り込みでは、お客様に連絡を送りません。取り込んだ修理は、見積もりとお受け取りのリマインドの対象にもなりません。
  • 受付番号は新しく付きます。元の番号はカルテのメモに残ります。
  • お渡し済みの行は、履歴として入ります。同じ電話番号のお客様の修理は、お客様ごとにまとまります。
  • 読めないもの: 紙や写真、昔の形式の Excel(.xls。Excel で開いて .xlsx か CSV で保存し直せば読めます)、写真・添付ファイル、修理の記録が無いお客様だけの行。
Repair Karteの顧客一覧。お客様名、電話番号、LINEやメールの連携マーク、来店回数、累計売上、最終来店日が並ぶ
取り込んだあとは、電話番号ごとに修理の履歴がまとまります(Repair Karteの顧客一覧。お客様は架空)。

フリープランは受付が月100件まで・スタッフ1名で、クレジットカードの登録なしにずっと無料です。お客様へのLINE・メールの自動連絡はスタンダードプランから。新規登録から30日間は、プロプランの全機能を無料で試せます。最初の設定と取り込みは、登録したあと画面の案内に沿ってお店で行います。合う・合わないの見分け方は「修理管理システムの選び方」の9章に、料金は料金とプランの比較にまとめています。

関連する解説