1. 受付票が必要な3つの理由
取り違えを防ぐ
同じ品目を何本も預かると、控えの紙だけでは誰の物か追えなくなります。受付番号を票と品物と控えの3か所に書くだけで、ほぼ起きなくなります。
お返しのときに揉めない
「このキズは預ける前からあった」を、お客様と一緒に確認して書いておく欄です。お渡しの場で言った・言わないにならないための記録です。
進捗を追う起点になる
見積もりを伝えたか、承認をもらったか、連絡したか。票に印を付ける欄があると、棚に残っている品物の理由がすぐ分かります。
2. 修理受付票に記載する項目
業種が変わっても、書く項目はほぼ同じです。「抜けると起きること」の列を見て、実際に起きたことがある行は、欄を大きめに取ってください。
| 項目 | 書くこと | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 受付番号・受付日 | 通し番号。品物に付けるタグと、お客様控えにも同じ番号を書く | 取り違え。棚の品物と紙が結びつかない |
| お客様の名前・電話番号 | フリガナも。電話番号は復唱して確認する | 連絡がつかない。同姓のお客様と混ざる |
| 連絡方法・時間帯 | 電話・LINE・メールのどれで、いつなら出られるか | 仕上がっても連絡がつかず、品物が棚に残る |
| 品目・品名・型番 | 「アコースティックギター/AG-100」のように、種類と個体の両方 | 見積もりの根拠が曖昧になる |
| 色・特徴・製造番号 | 他の預かり品と見分けがつく書き方で | 同じ型番を2つ預かったときに取り違える |
| 付属品 | ケース・箱・保証書・ケーブルなど、預かった物に印 | 「ケースも渡したはず」の行き違い |
| 症状・気になっている点 | お客様の言葉のまま。「音が出ない」「かかとが片減り」 | 作業する人が症状を再現できない |
| ご希望・予算の上限 | 修理か、見積もりだけか。いくらまでなら連絡なしで進めてよいか | 見積もり連絡のたびに作業が止まる |
| お預かり時の状態 | キズ・欠け・汚れ・動作の有無を、お客様と一緒に見て書く | お渡しのときに「前からあった」が言えない |
| 概算見積もり・承認 | 概算金額と、見積もり後の連絡が要るか、承認をもらった日 | 承認待ちのまま放置される。金額の記憶違い |
| 納期(仕上がり予定日) | お客様に伝えた日。お渡し日も後で書く | 「いつできますか」の電話が増える |
| 担当 | 受付した人と作業する人。1人のお店でも書く癖をつける | 複数人のお店で「誰が見ているか」分からない |
| お預かりにあたっての確認事項・署名 | 追加費用の連絡、長期未受け取りの扱い、データ消失の可能性など | 後からの認識違い。お店の規定を示す根拠がない |
| 進捗の欄 | 受付・見積・承認・作業中・完了・連絡済・お渡し済に印 | 完了したのに連絡していない品物が見えない |
| お渡しのときの確認 | 控えとの照合・仕上がり・付属品・会計に印。お渡し日と担当 | 付属品の返し忘れ。誰がいつ渡したか分からない |
3. 無料の修理受付票・修理伝票テンプレート(PDF・Excel)と記入例
上の項目をすべて入れた受付票です。A4縦1枚で、上がお店の控え、下が切り取ってお客様に渡す「お預かり票」(修理品の預かり証)です。改変・社内配布は自由です。
テンプレートに入っている欄
- お客様(名前・フリガナ・電話番号・連絡の方法・連絡してよい時間帯)
- お預かり品(品目・品名・メーカー・型番・色・特徴・製造番号・数量・付属品)
- 症状・ご希望(お客様の言葉のまま・修理か見積もりだけか・予算の上限)
- お預かり時の状態(キズ・欠け・汚れ・変形・動作・欠品に印、場所と程度、確認者)
- 見積もり・納期(概算・見積もり後の連絡の要否・承認日・仕上がり予定日・お渡し日・お支払い)
- 担当・進捗・お渡し(受付担当・作業担当・進捗の印・お渡しのときの確認・お渡し担当)
- お預かりにあたっての確認事項(4項目)とお客様の署名・備考
- キリトリ線の下に、お客様控え「お預かり票」(番号・品物・概算・予定日・連絡方法・一緒に確認した点)

使い方
- Excel版は「受付票」シートの上下2か所の店名・電話番号を入れて保存します。PDF版はそのまま印刷します。
- A4で印刷し、受付のたびに1枚使います。まとめて印刷して、番号を先に書いておくと受付が早くなります。
- 受付では4章の順に書き、下の「お預かり票」を切り取ってお客様に渡します。上半分は番号順にとじて保管します。
- 品物には受付番号を書いたタグを付けます。票・品物・控えの3か所に同じ番号がある状態にします。
- お渡しのときは6章の順に確かめ、6の欄「お渡しのときの確認」に印を付けて、お渡し日・お支払い・お渡し担当を書きます。
業種に合わせて足すとよい欄
「色・特徴」の欄か「症状」の欄の余白に書いてもよいですし、Excel版で欄を1つ足しても収まります。
| 業種 | 足すとよい欄 |
|---|---|
| 楽器 | 弦のゲージや張り替えの希望、チューニング、ケースの種類 |
| 時計・宝飾 | 電池交換の可否、ベルトの素材とサイズ、石の数と欠けの有無 |
| 靴・カバン | サイズと左右、素材、ヒールやソールの種類 |
| スマホ・パソコン | データの扱い(消えてよいか)、ロック解除の要否、SIMやSDカードの有無 |
| 自転車 | 防犯登録番号、フレームサイズ、付属のライトやカゴ |
| カメラ | レンズやメディアの有無、シャッター回数、動作確認の結果 |
洋服のお直しは、丈・幅の寸法とピンの位置を書く欄が中心になるので、専用の受付票を洋服お直し店のページで配っています。 見積もりを紙で渡すときの見積書は「修理見積書テンプレート」で配っています。
4. 受付のときの書き順と確認
お客様を待たせずに、抜けなく書くための順番です。テンプレートの欄の並びもこの順になっています。
先に受付番号を振る
書き始める前に番号を書き、タグにも同じ番号を書いて品物に付けます。番号が最後だと、付け忘れが起きます。
症状はお客様の言葉のまま書く
専門用語に言い換えず、聞いたとおりに書きます。「たぶん○○が原因」は別の欄か余白に。
品物を一緒に見て、状態と付属品に印を付ける
キズや欠けは場所と大きさまで。お客様に見せながら書くと、お渡しのときに揉めません。付属品は、預かった物だけに印を付けます。
見積もり・納期・連絡方法を決めて書く
概算と、見積もり後に連絡が要るかどうか。「いくらまでなら連絡なしで進めてよいか」を聞いておくと、作業が止まりません。
控えを切り取って渡す
受付番号・品物・概算・予定日が書かれた下半分をお客様へ。上半分は番号順にとじて保管します。
お客様が帰る前に確かめること
受付の最後に、次の8つを確かめます。どれも、お渡しのときの行き違いを先に防ぐためのものです。
- 電話番号を読み上げて、お客様に合っているか確かめた
- 連絡の方法(電話・LINE・メール)と、出られる時間帯を聞いた
- 品物のキズ・欠け・汚れを、お客様と一緒に見て書いた(無ければ「目立つ問題なし」に印)
- 預かった付属品に印を付けた。預からない物はお客様に持ち帰ってもらった
- 見積もりのあとに連絡が要るか、いくらまでなら連絡なしで進めてよいかを決めた
- 仕上がり予定日を、票と控えの両方に書いた
- 確認事項(追加費用・長期未受け取り・データの扱い)を読んでもらい、署名をもらった(署名をもらわないお店は、控えを渡したことを票に残す)
- 受付番号を、票・品物のタグ・控えの3か所に書いた
5. 修理受付でよくある記入漏れ
付属品を書かない
ケースやケーブルは「あって当たり前」なので抜けやすい欄です。お渡しのときに「ケースも渡した」の行き違いになります。
状態を「特になし」で済ませる
見ていないのと同じです。小さなキズでも場所を書き、無ければ「目立つ問題なし」と、見たことが分かる書き方にします。
連絡方法と時間帯が無い
仕上がったのに日中は電話に出られないお客様だと、何日も棚に残ります。LINEやメールの可否と、出られる時間帯を聞いておきます。
承認の要否と上限を決めていない
見積もりが出るたびに連絡して返事を待つことになります。「¥○○まではそのまま進めてよい」を先に聞くと、止まる回数が減ります。
納期を口頭だけで伝える
お店とお客様で記憶が違うと、催促の電話になります。予定日は票と控えの両方に書きます。
受付番号を品物に付けない
票には番号があっても、品物に付いていなければ棚では探せません。タグ・マスキングテープ・荷札のどれでもよいので同じ番号を付けます。
6. お渡し(返却)のときの確認
控えを受け取り、番号を照らし合わせる
お客様の控え・受付票・品物のタグの3つの番号が同じかを見ます。控えは回収するか、「お渡し済」と書いてお返しします。同じ番号の控えが2回使われることがなくなります。
控えが無いときは、受付票の名前と電話番号で確かめる
名前と電話番号で受付票を探し、ご本人かどうかをお店の決まりに沿って確かめます。確かめた方法は備考に書いておきます。代わりの方が受け取りに来る場合の扱い(控えを持っていればよいか、ご本人に電話で確かめるか)も、先に決めておくと迷いません。
仕上がりを、お客様の前で一緒に確かめる
受付のときの症状(お客様の言葉)を読み返し、直ったことをその場で見てもらいます。音を出す、動かす、履いてみる、時刻を合わせる。何をしたかと、次に気をつけることも、このときに伝えます。
預かったときの状態と見比べる
受付票の「お預かり時の状態」の欄と、今の品物を見比べます。受付のときからあったキズと、作業で変わったところを分けて伝えられます。
付属品を、受付票の印と照らしてすべて返す
ケース・箱・保証書・ケーブルなど、受付で印を付けた物をひとつずつ返します。返し忘れは、お客様が帰ったあとに気づくことがほとんどです。
会計をして、お渡し日と担当を書く
お渡し日・お支払い・お渡し担当を書き、進捗の「お渡し」に印を付けます。台帳がある場合は、同じ日に台帳の「お渡し日」も埋めます。ここで書いた作業内容と金額が、次に来店されたときの修理履歴になります。
お渡し済みの受付票は捨てずに残します。「前回どこを直したか」を聞かれたときの手がかりになります。修理履歴を台帳にまとめて残す方法は「修理管理をExcelで」の修理履歴の章に、仕上がりの連絡が伝わったかを記録する方法は「修理完了の連絡忘れをなくす方法」にまとめています。
7. 紙で管理する場合
受付票を紙で運用するときに決めておくことは3つです。
- 番号の付け方。「年+通し番号」(例: 26-0426)のように、年が変わっても重ならない形にします。番号は受付票の束に先に書いておきます。
- とじ方。「作業中・連絡待ち」と「お渡し済み」の2つに分けてとじます。作業中の束を毎朝めくれば、連絡していない品物が見つかります。
- 残す期間。お渡し済みの票も、後日の「前回どこを直したか」の問い合わせに備えて一定期間残します。期間はお店の判断ですが、捨てる前に台帳へ転記しておくと安心です。
8. Excelで管理する場合
受付の場でExcelに直接打ち込むのは、お客様を待たせるので現実的ではありません。おすすめは「受付票は紙、一覧はExcel」の2段構えです。受付票を書いたら、その日のうちに台帳へ1行転記します。
- 受付票(このページのテンプレート)は1件1枚。お客様と一緒に見て書く「記録」。
- 台帳(Excel)は全件1行ずつ。「状態」で絞り込み、電話番号で過去の修理を探す「一覧」。
- 受付番号を両方に書くことで、台帳の行から紙の票をすぐ引けます。
台帳の列・状態・便利な機能・毎日の運用と、修理履歴の残し方は「修理管理をExcelで行う方法」に、紙・Excel・専用システムの比較は「修理品管理とは」にまとめています。
9. 修理件数が増えると起きること
探すのに時間がかかる
紙の票は作業中の品物の近くに置かれて散らばります。棚を見ても、票を見ても、相手が見つからない時間が増えます。
連絡したかどうかが分からない
完了した品物に「連絡済み」の印が無いと、同じお客様に二度電話をするか、逆に誰も連絡しないかのどちらかになります。
前回の修理が引けない
「前も同じ症状で来た」を確かめるには、とじた票を最初からめくることになります。電話番号で探せる台帳が要ります。
2人以上で共有できない
票は1枚しかないので、作業する人が持っていると、受付の人はお客様からの電話に答えられません。
10. 実際にRepair Karteを使ってみる
Repair Karteは、受付からお渡しまでを確認できる修理管理システムです。このページの受付票と同じ項目を1件1枚のカルテとして管理可能。受付票と台帳が同じものになるので、転記が要りません。受付のあとは、このページの修理受付票と同じ並びの紙を、お客様控えつきでそのまま印刷できます。
受付票と同じ項目で、1件受け付ける
お客様・品物・症状・見積もり・納期を画面に入れると、1件が1枚のカルテになります。受付番号は自動で付き、タグの印刷とお客様への連絡はこの画面から行えます。
受付で聞く項目を、お店に合わせて足す
弦の太さや防犯登録番号のように、業種ごとに聞く欄をお店で足せます。品目ごとに出し分け、必須にもできます(すべてのプラン)。
お預かりタグを印刷して、品物に付ける
お客様控えと店舗控えが同じ番号で2枚になり、お客様控えにはお店で決めた同意事項が入ります。紙の受付票の「お預かり票」にあたります。
お客様は、スマホで進み具合を見る
状況ページで、受付番号・品物・いまの段階・見積もりを見られます(すべてのプラン。お店がリンクを案内します)。LINE・メールの自動連絡はスタンダードプランからです。
お渡し前の点検をして、お渡しする
点検チェックリストに、確認した人と一緒に記録が残ります。「終わるまでお渡し済みにしない」設定もできます(すべてのプラン)。
Excelや紙の台帳があれば、送って取り込んでもらう
ファイルや紙の台帳の写真を送るだけで、運営が列の読み方を確かめてから取り込みます(無料・すべてのプラン)。打ち直しはいりません。取り込みでお客様に連絡は届きません。
業種ごとの使い方はこちら。
この解説の内容をRepair Karteで行うなら
- 受付・カルテ管理 お預かりから納品まで、1枚のカルテで。(すべてのプラン)
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