修理受付票の書き方|記載項目・記入漏れ・無料テンプレート(PDF・Excel)
修理受付票は、お客様から品物を預かるときに「誰の・何を・どんな状態で・何をいくらで・いつまでに」を書き留め、お店とお客様が同じ内容を持つための紙です。このページでは、受付票に書く項目と抜けやすい欄、受付の場での書き順、紙・Excelでの運用、件数が増えたときに起きることをまとめました。印刷してそのまま使える受付票のPDFと、店名を入れて使えるExcel版を無料で配布しています。
1. 修理受付票とは
修理受付票は、お預かりの内容を1件1枚に書く、お店側の記録です。レジのレシートや口頭の約束と違って、「預かったときの状態」「見積もりと承認」「いつまでに」が同じ紙に残るので、お渡しのときの認識違いと、棚の中の取り違えを防げます。似た名前の書類との違いを先に整理しておきます。
| 書類 | 誰が・何のために | 受付票との関係 |
|---|---|---|
| 修理受付票 | お店が書く。お預かりの内容を1件1枚に記録する | このページの対象。台帳やシステムの元になる |
| お預かり票(預かり証) | お客様に渡す控え。受付番号・品物・概算・予定日 | 受付票の下半分を切り取って渡す形が簡単 |
| 修理依頼書 | 依頼する側が書いて、メーカーや修理業者に送る書類 | 店頭で受け付けるお店では受付票がこの役を兼ねる |
| 修理管理台帳 | 全件の一覧。受付票を1行ずつ転記したもの | 受付票は「1件の詳細」、台帳は「全体の進み具合」 |
このページの受付票は、上半分がお店の控え、下半分がお客様に渡す「お預かり票」になっています。1枚書けば両方がそろいます。
2. 受付票が必要な3つの理由
受付票が無くても修理はできます。困るのは修理の最中ではなく、「お渡しのとき」と「品物が増えたとき」です。
取り違えを防ぐ
同じ品目を何本も預かると、控えの紙だけでは誰の物か追えなくなります。受付番号を票と品物と控えの3か所に書くだけで、ほぼ起きなくなります。
お返しのときに揉めない
「このキズは預ける前からあった」を、お客様と一緒に確認して書いておく欄です。お渡しの場で言った・言わないにならないための記録です。
進捗を追う起点になる
見積もりを伝えたか、承認をもらったか、連絡したか。票に印を付ける欄があると、棚に残っている品物の理由がすぐ分かります。
3. 修理受付票に記載する項目
業種が変わっても、書く項目はほぼ同じです。「抜けると起きること」の列を見て、自店で実際に起きたことがある行は、欄を大きめに取ってください。
| 項目 | 書くこと | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 受付番号・受付日 | 通し番号。品物に付けるタグと、お客様控えにも同じ番号を書く | 取り違え。棚の品物と紙が結びつかない |
| お客様の名前・電話番号 | フリガナも。電話番号は復唱して確認する | 連絡がつかない。同姓のお客様と混ざる |
| 連絡方法・時間帯 | 電話・LINE・メールのどれで、いつなら出られるか | 仕上がっても連絡がつかず、品物が棚に残る |
| 品目・品名・型番 | 「アコースティックギター/AG-100」のように、種類と個体の両方 | 見積もりの根拠が曖昧になる |
| 色・特徴・製造番号 | 他の預かり品と見分けがつく書き方で | 同じ型番を2つ預かったときに取り違える |
| 付属品 | ケース・箱・保証書・ケーブルなど、預かった物に印 | 「ケースも渡したはず」の行き違い |
| 症状・気になっている点 | お客様の言葉のまま。「音が出ない」「かかとが片減り」 | 作業する人が症状を再現できない |
| ご希望・予算の上限 | 修理か、見積もりだけか。いくらまでなら連絡なしで進めてよいか | 見積もり連絡のたびに作業が止まる |
| お預かり時の状態 | キズ・欠け・汚れ・動作の有無を、お客様と一緒に見て書く | お渡しのときに「前からあった」が言えない |
| 概算見積もり・承認 | 概算金額と、見積もり後の連絡が要るか、承認をもらった日 | 承認待ちのまま放置される。金額の記憶違い |
| 納期(仕上がり予定日) | お客様に伝えた日。お渡し日も後で書く | 「いつできますか」の電話が増える |
| 担当 | 受付した人と作業する人。1人のお店でも書く癖をつける | 複数人のお店で「誰が見ているか」分からない |
| お預かりにあたっての確認事項・署名 | 追加費用の連絡、長期未受け取りの扱い、データ消失の可能性など | 後からの認識違い。お店の規定を示す根拠がない |
| 進捗の欄 | 受付・見積・承認・作業中・完了・連絡済・お渡し済に印 | 完了したのに連絡していない品物が見えない |
一番効くのは「受付番号」と「お預かり時の状態」の2つです。番号は取り違えを、状態の記録はお渡しのときの揉め事を、それぞれ無くします。
4. 無料の修理受付票テンプレート(PDF・Excel)
上の項目をすべて入れた受付票です。A4縦1枚で、上がお店の控え、下が切り取ってお客様に渡す「お預かり票」です。業種を問わず使えるように、品目の欄は空欄にしてあります。改変・社内配布は自由です。

使い方
- Excel版は「受付票」シートの上下2か所の店名・電話番号を入れて保存します。PDF版はそのまま印刷します。
- A4で印刷し、受付のたびに1枚使います。まとめて印刷して、番号を先に書いておくと受付が早くなります。
- 下の「お預かり票」を切り取ってお客様に渡し、上半分は番号順にとじて保管します。
- 品物には受付番号を書いたタグを付けます。票・品物・控えの3か所に同じ番号がある状態にします。
業種に合わせて足すとよい欄
「色・特徴」の欄か「症状」の欄の余白に書いてもよいですし、Excel版で欄を1つ足しても収まります。
| 業種 | 足すとよい欄 |
|---|---|
| 楽器 | 弦のゲージや張り替えの希望、チューニング、ケースの種類 |
| 時計・宝飾 | 電池交換の可否、ベルトの素材とサイズ、石の数と欠けの有無 |
| 靴・カバン | サイズと左右、素材、ヒールやソールの種類 |
| スマホ・パソコン | データの扱い(消えてよいか)、ロック解除の要否、SIMやSDカードの有無 |
| 自転車 | 防犯登録番号、フレームサイズ、付属のライトやカゴ |
| カメラ | レンズやメディアの有無、シャッター回数、動作確認の結果 |
5. 受付の場での書き順
お客様を待たせずに、抜けなく書くための順番です。テンプレートの欄の並びもこの順になっています。
先に受付番号を振る
書き始める前に番号を書き、タグにも同じ番号を書いて品物に付けます。番号が最後だと、付け忘れが起きます。
症状はお客様の言葉のまま書く
専門用語に言い換えず、聞いたとおりに書きます。「たぶん○○が原因」は別の欄か余白に。
品物を一緒に見て、状態と付属品に印を付ける
キズや欠けは場所と大きさまで。お客様に見せながら書くと、お渡しのときに揉めません。
見積もり・納期・連絡方法を決めて書く
概算と、見積もり後に連絡が要るかどうか。「いくらまでなら連絡なしで進めてよいか」を聞いておくと、作業が止まりません。
控えを切り取って渡す
受付番号・品物・概算・予定日が書かれた下半分をお客様へ。上半分は番号順にとじて保管します。
6. 修理受付でよくある記入漏れ
欄があっても抜けるのは、だいたいこの6つです。どれも「その場では当たり前に思えて、後で困る」ものです。
付属品を書かない
ケースやケーブルは「あって当たり前」なので抜けやすい欄です。お渡しのときに「ケースも渡した」の行き違いになります。
状態を「特になし」で済ませる
見ていないのと同じです。小さなキズでも場所を書き、無ければ「目立つ問題なし」と、見たことが分かる書き方にします。
連絡方法と時間帯が無い
仕上がったのに日中は電話に出られないお客様だと、何日も棚に残ります。LINEやメールの可否と、出られる時間帯を聞いておきます。
承認の要否と上限を決めていない
見積もりが出るたびに連絡して返事を待つことになります。「¥○○まではそのまま進めてよい」を先に聞くと、止まる回数が減ります。
納期を口頭だけで伝える
お店とお客様で記憶が違うと、催促の電話になります。予定日は票と控えの両方に書きます。
受付番号を品物に付けない
票には番号があっても、品物に付いていなければ棚では探せません。タグ・マスキングテープ・荷札のどれでもよいので同じ番号を付けます。
7. 紙で管理する場合
受付票を紙で運用するときに決めておくことは3つです。
- 番号の付け方。「年+通し番号」(例: 26-0426)のように、年が変わっても重ならない形にします。番号は受付票の束に先に書いておきます。
- とじ方。「作業中・連絡待ち」と「お渡し済み」の2つに分けてとじます。作業中の束を毎朝めくれば、連絡していない品物が見つかります。
- 残す期間。お渡し済みの票も、後日の「前回どこを直したか」の問い合わせに備えて一定期間残します。期間はお店の判断ですが、捨てる前に台帳へ転記しておくと安心です。
紙の弱点は「探す」と「共有する」の2つだけです。1人のお店で月に数件なら、紙の受付票と番号タグで十分に回ります。
8. Excelで管理する場合
受付の場でExcelに直接打ち込むのは、お客様を待たせるので現実的ではありません。おすすめは「受付票は紙、一覧はExcel」の2段構えです。受付票を書いたら、その日のうちに台帳へ1行転記します。
- 受付票(このページのテンプレート)は1件1枚。お客様と一緒に見て書く「記録」。
- 台帳(Excel)は全件1行ずつ。「状態」で絞り込み、電話番号で過去の修理を探す「一覧」。
- 受付番号を両方に書くことで、台帳の行から紙の票をすぐ引けます。
台帳のテンプレートと、紙・Excel・専用システムの比較は「修理品管理とは」の解説ページに、台帳の列・状態・便利な機能・毎日の運用は「修理管理をExcelで行う方法」にまとめています。受付票と台帳の2つがそろえば、Excelでの修理管理は一通り整います。
9. 修理件数が増えると起きること
受付票と台帳の2段構えは、件数が増えると転記そのものが仕事になります。同時に、次の4つが目立ってきます。
探すのに時間がかかる
紙の票は作業中の品物の近くに置かれて散らばります。棚を見ても、票を見ても、相手が見つからない時間が増えます。
連絡したかどうかが分からない
完了した品物に「連絡済み」の印が無いと、同じお客様に二度電話をするか、逆に誰も連絡しないかのどちらかになります。
前回の修理が引けない
「前も同じ症状で来た」を確かめるには、とじた票を最初からめくることになります。電話番号で探せる台帳が要ります。
2人以上で共有できない
票は1枚しかないので、作業する人が持っていると、受付の人はお客様からの電話に答えられません。
目安は「見積もりの承認と完了の連絡を、毎日電話でしている」状態になったら、です。道具の選び方は修理品管理の解説ページの「道具の選び方」を、受付票に書いた進捗の欄を毎日どう動かすかは「修理の進捗管理」を参考にしてください。
10. システム化する場合
修理管理システムに切り替えると、受付票の項目がそのまま入力画面になります。変わるのは主に4つです。
- 受付番号が自動で付き、タグもその場で印刷できる(番号の付け忘れが無くなる)。
- 受付票と台帳が同じもの になり、転記が要らない。
- 「見積もり済み」「完了」と状態を変えると、お客様への連絡が自動で届く(連絡忘れが無くなる)。
- 電話番号で過去の修理が出てくる。スタッフ全員が同じ画面を見られる。
一方で、「受付票を作りたい」段階のお店に、システムは要りません。まずこのページのテンプレートで受付を整え、転記と連絡が負担になってきたら切り替えを考える、で十分です。
リペアカルテとの関係
リペアカルテは、楽器修理の現場で使うために作られた修理管理システムです。このページの受付票と同じ項目(お客様・品物・症状・状態・見積もり・納期・担当・進捗)を1件1枚のカルテとして画面に持ち、受付番号とお預かりタグは自動で発行されます。状態を変えるとLINEやメールでお客様に連絡が届き、電話番号ごとに履歴が残ります。紙の受付票からの移行も、Excelの台帳を取り込む機能で行えます。
フリープランは月100件まで無料で、クレジットカードの登録は不要です。登録せずに1分だけ触ることもできます。
業種ごとの使い方はこちら。
11. よくある質問
修理受付票に決まった様式はありますか?
法律で定められた様式はなく、お店ごとに自由に作れます。ただし「お預かりにあたっての確認事項」(追加費用・長期未受け取り・データ消失など)は、お店の規定に合わせて文言を確かめてください。このページのテンプレートは一般的な内容にしてあります。
お客様の署名は必要ですか?
必須ではありません。ただ、お預かり時の状態と確認事項を一緒に見た証として、署名欄があると後の認識違いが減ります。署名をもらわないお店は、控えを渡した事実を票に残しておくとよいでしょう。
修理依頼書とは何が違いますか?
修理依頼書は「依頼する側」が書いて、メーカーや修理業者に品物と一緒に送る書類です。店頭で品物を預かるお店では、受付票がその役を兼ねます。メーカーに送る修理を取り次ぐお店は、受付票とは別にメーカー指定の依頼書を使うことが多いです。
A5サイズで印刷できますか?
PDFはA4縦1枚の構成です。プリンターの設定で「A5に縮小」して印刷するか、2枚割付で印刷して切り分けてください。Excel版は印刷設定で用紙をA5に変えると1枚に収まるように縮小されます。文字が小さくなるので、記入欄の高さを調整すると使いやすくなります。
スマホ修理などで、パスコードを書いてもらう必要があるときは?
必要な場合だけ、お客様の同意のうえで受け取り、作業が終わったら票から消す(または票の一部を切り離して処分する)運用にします。控えの側には書きません。データの扱いについては、テンプレートの確認事項に「作業により消える場合がある」旨を入れてあります。
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