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修理の進捗管理を楽にする方法|状態の決め方・止まっている案件の見つけ方・納期とお客様への伝え方

修理の進捗管理でいちばん困るのは、「あの品物、今どうなってる?」と店内でもお客様からも聞かれることです。このページでは、聞かれる前に分かる状態にするための考え方を、状態(ステータス)の決め方、止まっている案件の見つけ方、納期の見える化、お客様への伝え方の順にまとめました。紙でも Excel でも専用システムでも使える内容です。

公開日 2026年9月9日 ・ 執筆 リペアカルテ(楽器修理の現場から生まれた修理品管理システム)

1. 修理の進捗管理で管理するのは3つ

進捗管理というと「今どの段階か」だけを思い浮かべますが、実務で聞かれるのは3つです。

状態

今どの段階にいて、次に誰が何をするのか。

期日

お客様にいつまでと約束したか。あと何日か。

連絡

その状態を、お客様にもう伝えたか。

この3つを別々に持つことが、進捗管理の土台です。「完了」という言葉ひとつに「直った」と「伝えた」を同居させると、直ったのに棚に残る品物が生まれます。「修理中」に「見積もり待ち」と「部品待ち」を同居させると、状態を見ても次の一手が分かりません。道具が紙でも Excel でも、欄を分けるところから始めます。

記録する項目の全体は「修理品管理とは」に、台帳の列の作り方は「修理管理をExcelで行う方法」にまとめています。このページは、そのうち「状態・期日・連絡」を動かす部分の話です。

2. 状態(ステータス)は「今、誰の番か」で決める

状態の区切りは、「次に誰が何をするか」が変わるところに置きます。修理の流れを「お店の番」と「お客様の番」に色分けすると、止まりやすい場所がはっきりします。

お店の番お預かり中お店が見て、見積もりを出す
お客様の番見積もり済みお客様が「進めてよい」と返事をする
お店の番修理中お店が作業する(部品待ちもここ)
お店の番作業完了(未連絡)お店が仕上がりを伝える
お客様の番ご連絡済み(引取待ち)お客様が取りに来る
終わりお渡し済み終わり。行は履歴として残す
リペアカルテの進捗タイムライン。お預かり中、見積もり済み、修理中と、状態を変えた日時が下から上に並び、メモの入力欄がある
状態を変えた日時を残しておくと、「いつから止まっているか」が後から分かります(リペアカルテの進捗タイムライン)。

「キャンセル」は流れの外に1つ持ちます(見積もり後の中止、引き取りのみ)。行は消さず、状態だけを変えます。

  • お客様の番で止まる案件は、お店が気づきにくい。見積もりの返事待ちと引取待ちは、お店の手が空いている状態なので、何もしなくても日々が過ぎます。ここに「何日で一度連絡する」の決まりが要ります(次の章)。
  • 「作業完了(未連絡)」はお店の番。直ったことは作業した人しか知りません。伝えるまでは、お客様から見ればまだ「修理中」です。
  • 状態の言葉は固定する。「完了」「済」「OK」が混ざると、絞り込みも色付けも効きません。決めた言葉から選ぶ形(Excel ならドロップダウン)にします。7つの状態の意味と「次に誰が何をするか」の一覧はExcel 解説の3章に表で載せています。

3. 止まっている案件を見つける仕組み

進捗管理が崩れるのは、忙しい日ではなく「特に何も起きなかった日」が続いたときです。止まっている案件は、誰かが探しに行かない限り見つかりません。そこで、状態ごとに「ここで何日止まったら気にするか」の線を、お店で先に決めておきます。

状態気にする目安(例)なぜその日数か
お預かり中(見積もり待ち)3日見積もりが出ていない品物は、お客様が「いくらか」を待っている状態。長引くほど問い合わせになる
見積もり済み(ご回答待ち)7日返事が無いのは、迷っているか、見積もりが届いていないか。1週間で一度こちらから聞く
作業完了(未連絡)7日直っているのに伝えていない。本来は当日。1週間残っていたら仕組みの問題
ご連絡済み(引取待ち)14日伝えたのに来ない。2週間で再連絡し、棚の場所と保管期限を確認する

日数はリペアカルテの初期設定の値を例として載せています(お店ごとに変えられます)。お店の修理の平均的な長さに合わせて決めてください。大事なのは日数そのものより、「線を決めて、毎朝その線を越えた案件だけを見る」という運用です。

リペアカルテのアラート設定画面。納期の残り日数の警告と、お預かり中3日・見積もり済み7日・作業完了(未連絡)7日・ご連絡済み14日の日数欄
上の表の日数は、この設定画面の初期値です。お店の修理の長さに合わせて変えられます。
リペアカルテのダッシュボード上部。本日の受付、本日のお渡し予定、対応中の修理、要対応の件数と、期限が近い・進捗が滞っている案件の内訳
線を越えた案件は「要対応」にまとまり、毎朝そこだけを見れば済みます。

毎朝見るのは、台帳全体ではありません。「作業完了(未連絡)」の全部と、上の表の線を越えた案件だけです。Excel なら状態で絞り込み、紙なら付箋の色、ホワイトボードなら日付を書いたマグネットで、同じことができます。

4. 納期の見える化

納期で混乱が起きるのは、「お客様に約束した日」と「店内の着手予定」を同じ欄に書いているときです。前者は動かすなら連絡が要り、後者は段取り次第で動かしてよい。性質が違うので、欄を分けます。

1

約束した日だけを「納期」の欄に、日付として書く

「来週中」「9/20頃」は日付ではありません。並べ替えも色付けもできないので、伝えた通りの日付で書きます。幅を持たせて伝えたなら、遅い方の日を書きます。

2

見方は2つだけ。「過ぎているのに渡していない」と「あと数日」

納期が今日より前で、お渡しが済んでいない行が「超過」。納期まで数日の行が「近い」。この2つに色が付く仕組み(Excel なら条件付き書式)があれば、週に1回の並べ替えで済みます。

3

間に合わないと分かった日に、納期を動かして連絡する

納期の欄を黙って書き換えるのが、いちばん信頼を失います。動かすときは必ずお客様に伝え、伝えた日と新しい日を残します。

リペアカルテのカルテ上部。「期限: 8月28日 まであと5日」と納期までの残り日数が赤い枠で表示されている
納期を日付で持っていると、「あと何日」を自動で出せます(リペアカルテのカルテ画面)。

着手の順番を決めたいときは、納期の早い順に並べるだけで十分です。「優先度」の欄を別に作ると、納期と優先度が食い違ったときにどちらを信じるか分からなくなります。

5. お客様への伝え方:節目は3つ、内容は「次にいつ何が起きるか」

「今どうなってますか」の電話は、お店から先に伝えていれば、ほとんど起きません。伝える節目は3つで足ります。毎日の途中経過を送る必要はありません。

1

見積もりが出たとき

いつ: 金額と、承認をもらえたらいつ頃仕上がるかが決まった時点

何を: 金額・内容・仕上がり予定・返事の期限。返事の方法(電話・LINE・来店)も書く

2

仕上がったとき

いつ: 作業が終わって、動作や仕上がりを確認した当日

何を: 受け取れる日時・営業時間・お支払い額。取り置き期限があるなら一緒に

3

約束の日に間に合わないと分かったとき

いつ: 納期の前日ではなく、間に合わないと分かった日

何を: 理由(部品の入荷待ちなど)・新しい予定日・待てない場合の選択肢(そのまま返す、代替品など)

文面の型(電話・メール・LINE 共通)

伝える内容は「品物の名前と受付番号 → 今の状態 → 次にいつ何が起きるか → お客様にしてほしいこと」の順にすると、短くても伝わります。たとえば仕上がりの連絡なら次のような形です。

【○○楽器店】山田様 お預かりしているエレキギター(No.0123)の修理が完了しました。 営業時間内(11:00〜19:00)にお受け取りいただけます。お支払いは 9,800円(税込)です。 2週間を過ぎる場合は一度ご連絡ください。
お客様のスマホに届いた本見積もりの画面。項目と金額、合計9,800円、完成予定日、承認ボタン
節目1「見積もりが出たとき」にお客様が見る画面の例。金額・仕上がり予定・返事の方法(承認ボタン)が1画面にあります。
お客様向けの修理状況確認ページ。受付番号、お客様名、品物、今の状態(作業完了・未連絡)と、お預かり中から引取待ちまでの段階
お客様が自分で確認できるページの例。電話の前にここを見てもらえます。
  • 伝えた記録を残す。伝えた日と手段(電話・LINE・メール)を台帳に書き、状態を「ご連絡済み」に変えます。「伝えたつもり」を無くすためです。
  • 受付の時点で、連絡の手段を聞いておく。電話に出られない時間帯、LINE でよいか、メールがよいか。受付票の「連絡方法・時間帯」の欄がそれです。
  • お客様が自分で確認できる方法があると、電話の前に見てもらえる。控えに書いた受付番号で問い合わせてもらう、状況確認ページを用意する、など。

6. 道具ごとの進捗の見せ方

道具状態の見せ方止まった案件の見つけ方お客様への連絡
紙の受付票+棚棚の場所(見積もり待ちの棚・完了の棚)で表す棚を見て回る。受付日を票に書いておく電話。伝えた日を票に書く
ホワイトボード・マグネット列(状態)にマグネット(案件)を置く壁を見れば全員が同時に分かる。日付は手書き電話。履歴は残らない
Excel の台帳「状態」の列。ドロップダウン+行の色状態で絞り込み、納期で並べ替え。条件付き書式で色電話・メール。伝えた日を列に書く
専用システム1件ごとの状態を画面で。一覧は状態別に自動で分かれる線を越えた案件に色や印が自動で付く状態を変えると自動で通知。履歴も残る

どの道具でも、「状態・期日・連絡を分けて持つ」「線を決めて毎朝見る」「節目で先に伝える」の3つは同じです。道具が変わるのは、それを人が覚えてやるか、仕組みがやるかの違いだけです。

7. よくある失敗

「修理中」に全部が溜まる

見積もり待ちも部品待ちも完了も、全部「修理中」に入れていると、状態を見ても次にすることが分かりません。状態は「次に誰が何をするか」が変わるところで区切ります。

直ったことと、伝えたことを分けていない

「完了」の1つしか無いと、連絡したかどうかは記憶頼みになります。「作業完了(未連絡)」と「ご連絡済み」を分けるだけで、連絡していない品物が一覧に残るようになります。

納期をメモに書く

「9/20頃」とメモ欄に書くと、並べ替えも色付けもできません。納期は専用の欄に日付として持ちます。お客様に伝えた日と、店内の着手予定は別の欄です。

部品待ちのために状態を増やす

「部品発注中」「部品入荷待ち」「入荷済み」と増やすと、更新が追いつきません。状態は「修理中」のまま、理由と入荷予定を部品の欄に書きます。

進捗を頭の中で管理する

1人のうちは回りますが、スタッフが増えた瞬間、休んだ日に止まります。台帳でもホワイトボードでも、頭の外に出すことが進捗管理の第一歩です。

8. リペアカルテならこうなる

リペアカルテは、楽器修理の現場で使うために作られた修理品管理システムで、このページの3つ(状態・期日・連絡)を1枚のカルテで持ちます。状態を「見積もり済み」「作業完了」に変えると、お客様の LINE かメールに自動で連絡が届き、状態は「ご連絡済み」に進みます。連絡の文面と送った日時はカルテに残るので、「伝えたつもり」は起きません。

一覧では、3章の表の線(お店ごとに日数を変えられます)を越えた案件と、納期が近い・過ぎた案件に印が付き、毎朝はそこだけを見れば済みます。お客様には受付番号ごとの状況確認ページが渡るので、電話の前に自分で見てもらえます。

リペアカルテの修理一覧。状態ごとの件数のタイルと、受付番号・お客様・修理品・状態・担当・金額の行
状態ごとの件数と一覧。「作業完了(未連絡)」の数字を押せば、今日連絡する品物だけが並びます。

フリープランは月100件まで無料で、クレジットカードの登録は不要です。業種ごとの使い方はこちら。

9. よくある質問

状態(ステータス)はいくつが適当ですか?

修理店なら業種を問わず6〜7つで足ります(お預かり中・見積もり済み・修理中・作業完了(未連絡)・ご連絡済み(引取待ち)・お渡し済み・キャンセル)。細かくしたくなったら、「その状態で次にすることが変わるか」で判断してください。変わらないなら分けません。

納期と作業予定は同じ欄でよいですか?

分けた方が安全です。納期はお客様に約束した日で、動かすなら連絡が要ります。作業予定は店内の段取りで、動かしても誰にも伝える必要がありません。同じ欄にすると、段取りの変更のたびに納期が動いたように見えます。

ホワイトボードやマグネットで進捗を管理するのは古いですか?

1人〜2人のお店で、品物が店の1か所にあるなら、今もよく機能します。壁を見れば全員が同じものを見られるのが利点です。弱点は、履歴が残らないことと、お客様に伝える作業が別に要ることです。台帳と併用するなら、ホワイトボードは「今日やること」、台帳は「記録」と役割を分けます。

お客様から「今どうなってますか」と聞かれる回数を減らすには?

節目(見積もり・完了・遅れ)でこちらから先に伝えることに尽きます。伝える内容に「次にいつ何が起きるか」を入れると、お客様はそれまで待てます。お客様が自分で確認できる方法(状況確認ページなど)があれば、電話の前に見てもらえます。

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