郵送修理の始め方|遠くのお客様を増やすために決めること・受付から発送までの流れ・連絡の文面
持ち込みだけの修理店に来てくれるのは、店まで来られる人だけです。けれど、その店の腕を必要としている人は、もっと遠くにもいます。郵送の受付を始めると、近くに専門の店が無い人や、店の営業時間に来られない人からも修理を受けられるようになります。このページでは、郵送修理を始める前に決めておくこと、受付から発送までの流れ、そのまま使える連絡の文面、遠くのお客様に見つけてもらう方法を、順番にまとめました。
1. 郵送修理で、お客様が広がる理由
修理は「近くの店」で探されることが多い仕事です。そのぶん、店に来てくれるお客様は、店から通える範囲に住んでいる人にほぼ限られます。郵送の受付は、この範囲の線を外します。
- 近くに専門の店が無い人。特定の楽器、古い時計、特別な素材の靴や鞄など、直せる店が限られる修理ほど、遠くから頼みたい人がいます。
- SNSや検索で店を見つけた人。インスタグラムの作業の投稿や、ホームページの事例を見て「ここに頼みたい」と思っても、行ける距離でなければ、郵送が無いとそこで終わります。
- 店の営業時間に来られない人。平日の昼に店へ行けない人でも、荷物なら送れます。受け取りも自宅でできます。
- 以前のお客様で、引っ越した人。「前の店にまた頼みたい」という人を、そのままお客様として続けられます。
一方で、郵送には店で受けるときには無い手間があります。住所を聞く、送料を決める、届いた荷物を確かめる、入金を確かめてから送る、追跡番号を伝える。この手間を、毎回その場で考えずに済むように、先に決めておくのが2章です。
2. 始める前に決める7つ
郵送修理のもめごとは、ほとんどが「決めていなかったこと」から起きます。どれも、一度決めて案内文に書いておけば、あとは毎回同じに回せます。
| 決めること | 決め方の例 | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
| 受ける品物・受けない品物 | 送られてきても直せるもの、送り返せるものに絞ります。大きすぎるもの、割れやすいもの、現物を見ないと見積もりの幅が大きすぎるものは、最初は外しておきます。 | 直せない品物が届き、送り返す手間と送料だけがかかります。 |
| 送料(行き・帰り) | よくあるのは、行きはお客様の元払い、帰りの送料は修理代と一緒にいただく形です。帰りの送料は見積もりの明細に1行入れておくと、あとで説明がいりません。 | 「送料込みだと思った」で揉めます。着払いで届いた荷物を受け取るかどうかも、先に決めておきます。 |
| 見積もりで断られたとき | 直さずに送り返すときの返送料と、診断料をいただくかどうか。いただくなら、申し込みの時点で伝えます。 | 見積もりを見て断ったお客様に、あとから費用を伝えることになります。いちばん揉めやすいところです。 |
| 支払い方法と時期 | 銀行振込・代金引換・カード払いなど。いつ払ってもらうか(修理後・発送前)も決めます。入金を確かめてから送るなら、その旨を最初に伝えます。 | 支払いの確認より先に発送して、入金を待ち続けることになります。 |
| 梱包の頼み方 | 箱に入れる、緩衝材で動かないようにする、付属品(ストラップ・ケーブル・ケース以外の小物など)は外すか一覧にしてもらう。品物ごとの注意を短く書いて渡します。 | 届いたときにはもう壊れていた、という荷物が来ます。付属品の有無で揉めることもあります。 |
| 運送の補償と高額な品物 | 宅配便には、壊れたりなくなったりしたときの補償に上限があります。上限は運送会社とサービスごとに約款で決まっているので、受ける品物の値段と照らして確かめ、高額なものは保険や送り方を案内します。 | 輸送中の事故のとき、補償で足りない分を誰が負うのかが決まっていません。 |
| 日数の目安と連絡の回数 | 届いてから見積もりまで、承認から発送までのおおよその日数。連絡は「届いた」「見積もり」「発送した」の3回は必ず送る、と決めます。 | 品物が手元に無いお客様は、店で待つ人より不安です。連絡が途切れると、問い合わせが増えます。 |
最初から全部の品物を受ける必要はありません。いちばん得意で、送り返しやすい修理から始めて、慣れてから広げるほうが失敗が少なく済みます。
3. 申し込みのページに書いておくこと
インターネットや郵便・電話で申し込みを受けて修理などのサービスを行うと、特定商取引法の「通信販売」にあたる場合があります。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告に表示する事項として、次のようなものを挙げています。
- サービスの料金(送料についても表示が必要)
- 代金の支払いの時期と方法
- サービスを行う時期
- 事業者の名前、住所、電話番号
- 申し込みの撤回や契約の解除に関すること
2章で決めたことは、ほとんどがこのどれかにあたります。決めたことを申し込みのページや案内文にそのまま書いておけば、お客様にとっても分かりやすく、表示の漏れも防げます。料金が見積もり次第で決まる修理は、「見積もりをお送りし、ご承認いただいてから作業します」と、決まり方を書いておきます。
ここに書いたのは、2026年10月7日に消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売」で確かめた内容の要約です。自分の店があたるかどうか、どこまで書けばよいかで迷うときは、ガイドの本文か、最寄りの消費生活センターなどで確かめてください。
4. 受付から発送までの流れ
持ち込みとの違いは、品物とお客様が離れていることです。そのぶん、節目ごとに「今どこにあるか」を伝えます。
申し込みを受ける
名前・電話番号・返送先の住所・品物・症状・支払い方法を、毎回同じ項目で受け取ります。DMやメールでばらばらに聞くと、聞き漏れが出て何往復もします。申し込みの欄を決めた入口(フォーム)を1つ用意するのがいちばん確実です。
送り先と申込番号を伝える
店の送り先、梱包の注意、それと申込番号を伝えます。申込番号は、箱の中か送り状の品名欄に書いてもらいます。名字が同じお客様の荷物が重なっても、どの申し込みの荷物かがすぐ分かります。
届いたら、開けて確かめて連絡する
開ける前と開けたところを写真に残し、付属品を申し込みの内容と照らします。輸送中の傷はここでしか見分けられません。確かめたら「届きました」とすぐ連絡します。このときにカルテ(受付の記録)を作ります。
見積もりを送って、承認をもらう
持ち込みと同じく、承認をもらってから作業します。郵送のお客様は品物を見ながら説明を聞けないので、傷や割れの様子は写真を付けると伝わります。断られたときの返送料もここでもう一度書きます。
直して、お支払いを案内する
作業が終わったら、決めておいた方法で支払いを案内します。振込なら振込先と金額、カード払いなら支払いのページ。入金を確かめてから発送に進みます。
発送して、追跡番号を伝える
送った日と運送会社、追跡番号を伝えます。お客様が自分で荷物の場所を見られるので、「いつ届きますか」の問い合わせが減ります。

5. 連絡の文面の型
郵送のお客様に必ず送る3通です。〇〇の部分を店に合わせて書き換えれば、そのまま使えます。
申し込みを受けたとき(送り先のご案内)
〇〇様
郵送修理のお申し込みをありがとうございます。申込番号は「〇〇」です。
お品物は、下記までお送りください。箱の中か送り状の品名欄に、申込番号をお書き添えください。
送り先:〇〇
梱包のお願い:〇〇(箱に入れ、動かないように緩衝材を詰めてください。付属品は外してお送りください)
送料:お送りいただく際の送料はお客様のご負担です。返送の送料は修理代金と一緒にお知らせします。
お品物が届きましたら、状態を確認してご連絡します。
届いたとき
〇〇様
お品物(申込番号 〇〇)が本日届きました。ありがとうございます。
状態を確認のうえ、〇日ほどでお見積もりをお送りします。
発送したとき
〇〇様
ご入金を確認し、本日お品物を発送しました。
運送会社:〇〇
追跡番号:〇〇
お受け取り後、気になるところがありましたらご連絡ください。このたびはありがとうございました。

6. よくある失敗
送料を「あとで決める」にしている
行き・帰り・断られたとき、の3つのうち1つでも決まっていないと、そこで必ず揉めます。始める前に、申し込みの画面か案内文に書いておきます。
どの申し込みの荷物か分からない
差出人の名前と申し込みの名前が違う(家族が送った、会社名で送った)ことはよくあります。申込番号を書いてもらうだけで防げます。
届いたときの状態を残していない
お渡しのときに「この傷は前からあったか」を確かめられるのは、届いた日の写真だけです。開けるときに撮る、を決めごとにします。
入金を確かめる前に送ってしまう
持ち込みならお渡しのときに会計できますが、郵送では送った後に回収する手段がほとんどありません。入金を確かめてから送るか、代金引換にします。
連絡が「直りました」の1回だけ
品物を手放しているお客様は、届いたかどうかからもう不安です。届いた・見積もり・発送の3回を決めておくと、途中の問い合わせがほとんど来なくなります。
郵送でも受けていることを、どこにも書いていない
始めても、遠くの人に伝わらなければ申し込みは来ません。7章の3か所に、受け付けていることと、申し込みの入口を書きます。
7. 遠くのお客様に見つけてもらう
郵送を始めても、受け付けていることが伝わらなければ、遠くからの申し込みは来ません。書く場所は3か所で足ります。どこにも同じ申し込みの入口を置くのがこつです。
Googleビジネスプロフィール
説明文の1行目近くに「郵送でも修理を受け付けています」と書き、サービスの欄にも郵送修理を載せます。ウェブサイトの欄を、申し込みの入口かその説明のページにしておきます。整え方はGoogleマップの解説にまとめています。
インスタグラム
プロフィールに「全国から郵送で受付」とひとこと書き、リンクを申し込みの入口にします。作業の投稿を見て頼みたくなった人が、そのまま申し込めます。DMで聞かれたら、同じリンクを返すだけで済みます。
ホームページ
郵送修理の説明を1ページにまとめます。送り方・送料・おおよその日数・支払い方法・断られたときの返送料、それに3章の表示事項。問い合わせをしなくても申し込めるところまで書いておくと、遠くの人ほど申し込みやすくなります。
直した品物の写真は、遠くの人にとって店を選ぶいちばんの手がかりです。お客様の持ち物なので、載せる前にひとこと許可をもらってください。
8. よくある質問
郵送修理は、どんな修理店に向いていますか?
近くに同じ専門の店が少ない修理や、腕を見込んで遠くから頼まれることがある店に向いています。楽器・時計・靴・鞄・アクセサリー・カメラなど、箱に入れて送れる大きさのものが中心です。大型のもの、割れやすいもの、現物を見ないと見積もりの幅が大きすぎるものは、最初は受けないほうが無難です。
送料はお客様とお店のどちらが払うものですか?
決まりはなく、店が決めます。よくあるのは、行きはお客様の元払い、帰りの送料は修理代と一緒にいただく形です。どちらにしても、見積もりで断られたときの返送料も含めて、申し込みの前に伝えておくことが大事です。
ネットで郵送修理の申し込みを受けるとき、表示しておくことはありますか?
インターネットや郵便・電話で申し込みを受けて修理などのサービスを行うと、特定商取引法の「通信販売」にあたる場合があります。その場合、料金(送料を含む)、支払いの時期と方法、サービスを行う時期、事業者の名前・住所・電話番号、申し込みの撤回や解除についてなどを、広告(申し込みのページなど)に表示することが求められます。詳しくは消費者庁の特定商取引法ガイドで確かめてください。
輸送中に壊れたら、誰の責任になりますか?
輸送中の事故は、まず運送会社の補償の対象です。ただし補償には上限があり、上限は運送会社とサービスごとに約款で決まっています。届いた日に開けて写真を残しておかないと、輸送中の傷かどうかを見分けられません。高額な品物は、保険の付け方や送り方を事前に案内しておきます。
持ち込みのお客様と、受付の仕方を分けたほうがよいですか?
受付の記録(カルテ)は同じものを使い、郵送かどうかと返送先が分かるようにしておくのがおすすめです。分けてしまうと、修理の進み具合を2か所で見ることになります。違うのは、届いた・見積もり・発送の連絡と、支払いを先に確かめるところだけです。
遠くのお客様から、どうやって申し込んでもらえばよいですか?
申し込みの入口を1つ決めて、Googleビジネスプロフィール・インスタグラムのプロフィール・ホームページの3か所に同じものを置きます。あわせて、送り方・送料・おおよその日数・支払い方法を書いておくと、問い合わせをせずにそのまま申し込んでもらえます。
9. 受付の手間を減らすには
4章の流れは、紙やメールでも回せます。ただ、件数が増えてくると、申し込みの聞き取り、届いた荷物との照らし合わせ、3回の連絡、入金の確認と、持ち込みには無い手間が積み重なります。
Repair Karteの郵送修理では、お店ごとのお申し込みリンクからお客様が住所・品物・支払い方法を入力し、荷物が届いたら「受け取り確認」を押すだけで受付の記録になり、届いたこと・お支払いの案内・追跡番号がお客様に届きます。代金をカードで先に払ってもらうカード払いも使えます(どちらもスタンダード以上のプラン)。
まずは郵送を受けるかどうかを決めて、2章の7つを書き出すところから始めてください。道具は、そのあとで十分です。
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